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2024年5月4日土曜日

ジブリ映画『猫の恩返し』の名シーン!

 


ジブリ 猫の恩返し

Sources

  1. スタジオジブリ - 猫の恩返し: https://www.ghibli.jp/works/baron/
  2. 猫の恩返し: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%AB%E3%81%AE%E6%81%A9%E8%BF%94%E3%81%97
  3. 猫の恩返し : 作品情報: https://eiga.com/movie/40559/
  4. 猫の恩返し/ギブリーズ episode2|スタジオジブリ: https://www.waltdisneystudios.jp/studio/ghibli/0376
  5. 猫の恩返し - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ: https://filmarks.com/movies/7942
  6. ジス・イズ・アニメーション 猫の恩返し : スタジオジブリ: 本: https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E7%8C%AB%E3%81%AE%E6%81%A9%E8%BF%94%E3%81%97-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA/dp/4091015670

‍⬛ 本作について

『猫の恩返し』は、2002年に公開されたスタジオジブリの長編アニメーション映画です。監督は森田宏幸、脚本は吉田玲子、原作は柊あおいの漫画「バロン 猫の男爵」となっています。

ハルというごく普通の女子高生が主人公で、ある日偶然出会った猫のバロンと彼の仲間たちによって、猫の国に迷い込んだハルが、様々な困難を乗り越えながら人間界に戻るまでの冒険を描いた物語です。

作品の特徴

  • 美しい映像と音楽
  • 可愛らしい猫のキャラクター
  • 心温まるストーリー
  • 主人公のハルを通して、成長していく姿を描く

この作品は、子供から大人まで幅広い世代に愛される、ジブリ作品の中でも特に人気の高い作品となっています。

その他

  • 2024年5月3日に金曜ロードショーで放送されました。
  • 主題歌はつじあやのの「風になる」です。

️‍♀️ まとめ

『猫の恩返し』は、ジブリファンならずとも楽しめる、心温まる作品です。まだ観たことがない方は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。


ジブリ映画『猫の恩返し』の名シーン!「カラスの階段」を歩く方法を具体的に考えたら、オドロキの結論に!

柳田理科雄空想科学研究所主任研究員
イラスト/近藤ゆたか

こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。
マンガやアニメや特撮番組の世界を、空想科学の視点から楽しく考察しています。
さて、今回の研究レポートは……。

『猫の恩返し』は、高校生の吉岡ハルが、車にはねられそうになっていた猫を助けたお礼に、猫の国に招待されるお話。
と書くと楽しそうだけど、ハルは猫の王子・ルーンの妃候補にされ、猫の姿に変えられてしまうのだから、喜んでいる場合ではない。

ハルは、「猫の事務所」のバロンとムタの助けを借りて、なんとか猫の世界から脱出する。
と思ったら、現実世界への出口は、高い塔の上だった!
風にあおられて落ちるハル!

そこへバロンの仲間のカラスのトトが、大勢の仲間を連れてやってくる。
カラスの群れに受け止めてもらったハルは、カラスたちがその身で作る階段を下りて、学校の屋上に降り立つのだった。

とっても印象的なシーンだけど、筆者は気になって仕方がない。
カラスの階段を下りるのは、ものすごく大変そうだっ!

『猫の恩返し』で描かれたこのエピソードについて、どうすればそんなことができるか、真剣に考えてみたい。
この魅惑のアニメが、ますます奥深いファンタジーになりますぞ。

◆カラスの賢さがすごい

猫の国からの出口は、目もくらむ塔の上。
しかも、半端な高さではなかった。
ここから足を滑らせたハルは、カラスの群れに受け止められるまで、なんと1分16秒も落ち続けたのである。

スカイダイビングで人間が落下する速度は、時速200kmだという。
そんな速度で1分16秒も落ちたとなると、落差は4200m! 3776mの富士山より高い。
しかも、これはハルがカラスに助けられるまでに落ちた距離だから、塔のてっぺんは富士山頂よりもはるか高所にあったわけだ。

この高さから落ちる少女を助けるのは、カラスたちにとっても大変だったことだろう。
カラスは一団となって、噴水のように下から次々とハルにぶつかっていった。
その衝撃でハルは徐々に速度を落としていったが、最初のカラスは、時速200kmで落ちてくるハルに正面から迫ったわけである。
まともに衝突したら、カラスにとってもハルにとっても、ダメージは甚大だ。

ハルが平穏に停止したということは、カラスたちはかすめるように身を当てて、少しずつ減速させたと思われる。
カラスは賢いといわれるが、そうでなくてはできない芸当である。

◆めちゃくちゃコワイ階段だ!

こうして助かったハルの眼下では、カラスたちが螺旋(らせん)階段を作っていた。
ハルはカラスたちの背中を踏んで、ゆっくりと降りていく。
やがて螺旋の階段はほどけてまっすぐになり、学校の校舎の屋上まで伸びていく。

ホッと安心する場面だが、カラスにとってはキビシイ試練のときだったと思われる。
ハルは「上を歩いて痛くないかな」とカラスたちを気遣っていたが、痛いとかそんなレベルの話ではありません。
階段である以上、1歩ごとに1羽のカラスに彼女の全体重がかかるのだ。
ハシブトガラスの体重は平均670g。
ハルの体重を40kgと考えても、自重の60倍ほどもある。
人間が荷物満載の2tトラックを1人で支えるようなものだ!

いや、人間だったら、下には地面があるから、背中や足腰が驚異的に頑健ならなんとかなるかもしれない。
だが、カラスの体を支えるのは、翼に受ける風が生み出す揚力だけ。
揚力が足りなければ、いくら背中と翼が超カラス的に頑強でも、墜落してしまう。

カラスの巡航速度は時速34km。この速度で発生する揚力で、自らの体重670gを支えている。
プラス40kgの揚力を生み出すには、速度を上げるしかない。必要なスピードを計算してみると、なんと時速260km!
つまりこの階段は、空の上を新幹線並みの高速で移動中だったのだ。

しかもカラスたちは、ハルと逆方向を向いていた。
ハルから見れば、自分が降りていく階段は新幹線のスピードで後ろ向きにカッ飛んでいる。
ハルの体には、後方から時速260kmの猛風が吹きつけ続けているわけで、これに負けたら一巻の終わりだ。

こんな世界一オソロシイ階段を、猫とおしゃべりしながら降りていった吉岡ハル。
最初は頼りなさそうな少女だったけど、猫の国での体験で、精神的にめちゃくちゃ成長しましたな!

◆屋上に近づくスピードは?

それでも、筆者には心配なことがある。
どうやって屋上に降り立つか、という問題だ。


繰り返すが、ハルはカラスたちとは逆向きに進んでいた。
それは、たとえるなら「動く歩道を逆向きに歩く」ようなものだ。
仮に時速3kmで流れる動く歩道の上を、ハルが時速5kmで反対向きに歩いたら、彼女は時速2kmで進むことになる。

カラスの階段を歩くのもそれと同じだが、大きく違うのはスピード!
前述のようにカラスは時速260kmで飛んでいるはずで、その上を時速5kmで逆に歩いたのでは、ハルは差し引き255kmで後ろ向きに運ばれてしまう。
目的地の屋上は遠ざかるばかり……!

屋上にたどり着くには、カラスたちに自分と同じ向きに飛んでもらうしかない。
そうすれば、目指す屋上はどんどん近づいて……って、いや待て待て。
どんどん近づきすぎだ。

この場合はカラスの飛行速度+ハルの歩行速度=時速265kmで屋上に接近してしまう。
これで屋上に降り立つのは、疾走中の新幹線からホームに飛び降りるも同然。
いったいどうやって降りればいいだ!?

心配しながらアニメを見ていると、おお、ハルはカラスに後ろに運ばれながらも、ちゃんと前進しているではないか。

ここから導き出される科学的真実はただ一つ。
ハルは時速260kmを超えるスピードで、カラスの背中を走っていたに違いない!

……というのは、いくらなんでも考えづらいかなーとは思うけど、ハルが大きく成長したことを象徴する名シーンであることは、空想科学的にもナットクなのである。

イラスト/近藤ゆたか
イラスト/近藤ゆたか

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空想科学研究所主任研究員

鹿児島県種子島生まれ。東京大学中退。アニメやマンガや昔話などの世界を科学的に検証する「空想科学研究所」の主任研究員。これまでの検証事例は1000を超える。主な著作に『空想科学読本』『ジュニア空想科学読本』『ポケモン空想科学読本』などのシリーズがある。2007年に始めた、全国の学校図書館向け「空想科学 図書館通信」の週1無料配信は、現在も継続中。YouTube「KUSOLAB」でも積極的に情報発信し、また明治大学理工学部の兼任講師も務める。2023年9月から、教育プラットフォーム「スコラボ」において、アニメやゲームを題材に理科の知識と思考を学ぶオンライン授業「空想科学教室」を開催。

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2024年5月3日金曜日

台湾映画スター、シュー・グァンハンの実像に迫る『青春18×2 君へと続く道』

 



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台湾映画スター、シュー・グァンハンの実像に迫る:日台合作『青春18×2 君へと続く道』公開に向けて来日

Cinema 

稲垣 貴俊 【Profile】

台湾の誇るスター俳優、シュー・グァンハンが、映画『青春18×2 君へと続く道』(藤井道人監督)で日本に本格登場する。現地では高い演技力に裏打ちされた圧倒的人気を誇り、宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』(2023)の台湾吹替え版ではアオサギ役の声優を担当。韓国ドラマにも進出するなど、国際的に活躍する才能の実像に迫った。

シュー・グァンハン(許 光漢) HSU Kuanghan

1990年、台湾生まれ。2016年にドラマ『先生、本当の恋って?』で注目を集め、翌年の金鐘奨・長編ドラマ助演男優賞にノミネート。19年、ドラマ『時をかける愛』に主演、金鐘奨・連続ドラマ主演男優賞にノミネート。主な出演映画に『お花畑から来た少年』(18)、『ひとつの太陽』(19)など。23年、主演作『僕と幽霊が家族になった件』が大ヒット。日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』(24)で清原果耶とダブル主演。

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2023年、台湾で一本の映画がスマッシュヒットを記録した。『僕と幽霊が家族になった件』は、ノンケの警官とゲイの幽霊が、古くからの風習「冥婚」のために結婚しなければならなくなるコメディ。台湾映画として年間No.1、歴代7位の興行収入を達成したこの映画で主演を務めたのがシュー・グァンハン(許光漢)だった。

大学時代にモデルからキャリアをスタートさせたシューが、俳優としての注目を浴びたきっかけは、脳に障がいを抱える青年という難役を演じたテレビドラマ『先生、本当の恋って?』(16)。その後、主演ドラマ『時をかける愛』(19~20)で一躍ブレイクした。

日本と台湾、ふたつの土地で

そんなシューにとって、日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』は、自らの存在と演技力を日本の観客に広く知らしめる初めての機会。『時をかける愛』や『僕と幽霊が家族になった件』は、日本でもアジア・台湾作品のファンから高い人気を得ているが、残念ながら広い観客層にはなかなか届いていないのだ。

監督・脚本は『余命10年』(22)の藤井道人。シューとともにW主演を務めた清原果耶をはじめ、共演者には日本から道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳という豪華な顔ぶれが揃った。

電車に乗るジミー(シュー・グァンハン)とアミ(清原果耶) ©2024「青春18×2」Film Partners
電車に乗るジミー(シュー・グァンハン)とアミ(清原果耶) ©2024「青春18×2」Film Partners

シュー演じる主人公のジミーは、青春時代の約束を果たすため、鈍行列車で日本を旅する36歳。自身の設立した会社を追い出され、人生に行き詰まるなか、18年前に出会った日本人バックパッカー・アミとの初恋を回想してゆく。

物語は、36歳のジミーが旅の途中で人びとと出会い別れる2024年のパートと、18歳のジミーがアミへの思いに身を焦がす2006年のパートが交互に展開。全編出ずっぱりのシューは、撮影のため約1ヶ月にわたり日本に滞在した。過去に東京や大阪、京都を訪れた経験はあったものの、今回は初めての土地へいくつも足を運んだという。

「日本で撮ったシーンはどれも気に入っています。長野県松本市、福島県只見町は特に思い出深いですね。松本は静かで、水が清らか。只見はとにかく自然が美しく、湖や山を眺めながら『なんて詩的な風景なんだろう』と思いました。仕事であちこちを旅することができるのは役者のいいところですね(笑)」

『スラムダンク』の聖地、鎌倉でのロケ撮影も印象的だったと語る ©2024「青春18×2」Film Partners
『スラムダンク』の聖地、鎌倉でのロケ撮影も印象的だったと語る ©2024「青春18×2」Film Partners

白眉のシーンは、JR東日本による協力のもと長野県の飯山線で撮影された雪景色。「壮大で美しく、感動的でした」と振り返るが、撮影は実際に走行している電車のなかで敢行されたため、撮影スケジュールは非常にタイトだった。

「幸次役の道枝(駿佑)さんとは、電車での出会いのシーンを撮るときが本当の初対面でしたし、僕は電車に乗って次の撮影地に向かわなければならず、ホームでの別れのシーンの撮影が終わったらそのままお別れ。まるでフェイクドキュメンタリー映画を撮っているような気持ちになりました」

ジミーと幸次(道枝駿佑、右)は電車内で出会う。監督の藤井道人いわく「制約ゆえにドラマティックな撮影体験だった」 ©2024「青春18×2」Film Partners
ジミーと幸次(道枝駿佑、右)は電車内で出会う。監督の藤井道人いわく「制約ゆえにドラマティックな撮影体験だった」 ©2024「青春18×2」Film Partners

ちなみに、「ジミーが旅する様子をすべて記録しているようだった」という日本での撮影に対し、台湾では「大勢の友人たちと映画を撮っている雰囲気」。撮影は主に台南で実施された。

「台南には何度も行ったことがありますが、まだ台南の夜市に行ったことがなかったので、撮影で行けたのはすごく嬉しかったですね。また、ジミーとアミが夜景を見る展望台もポイント。高雄で撮影したシーンですが、台湾南部の美しい景色に注目してもらえればと思います」

さりげなく映り込む台湾の自然や風景、文化も映画の見どころ ©2024「青春18×2」Film Partners
さりげなく映り込む台湾の自然や風景、文化も映画の見どころ ©2024「青春18×2」Film Partners

ひとつの役柄、ふたつの年代を演じ分ける

もの静かで憂いを帯びた36歳と、恋に夢中の18歳。2つの年代を演じ分けたシューの演技は、それ自体が映画の推進力になっている。

監督の藤井は、シューとの初対面から「この人なら18歳と36歳を両方演じられる」と半ば確信していたそうだ。「脚本の執筆中にイメージしていた、静かさのなかに情熱があふれる人物像に重なるところがあったから」

36歳のジミーは表情や目で多くを物語る ©2024「青春18×2」Film Partners
36歳のジミーは表情や目で多くを物語る ©2024「青春18×2」Film Partners

1990年生まれのシューは今年34歳。実年齢に近いため、36歳のジミーは心境的にも近い部分があったという。むしろ18歳を演じるほうが、彼にとっては大きなチャレンジだった。出世作『時をかける愛』もふたつの時代にまたがる物語で、27歳の青年と18歳の高校生の二役を演じていたからだ。

「ビジュアル面を含め、いかに自分の新しい面を見せられるか試行錯誤しました。18歳のジミーは元気があるけれど、どこか優柔不断で不安定なキャラクター。僕自身は彼よりも素直でまっすぐな性格だったので、そこは似ていませんね(笑)」

清原果耶が演じるアミは、18歳のジミーよりも年上の設定だ ©2024「青春18×2」Film Partners
清原果耶が演じるアミは、18歳のジミーよりも年上の設定だ ©2024「青春18×2」Film Partners

一人二役とも言える鮮やかな演じ分けを、藤井は「本当にいろんな変化を見せてくれて感動した」と称える。もっともシューいわく、演技のヒントは劇中にあったそうだ。

「上映時間が5時間あったら、36歳になるまでのジミーが何をしていたのかを僕も見てみたかった(笑)。けれど、物語に散りばめられたエピソードや回想から『ジミーはこうやって成長したんだな』という情報をつかむことはできました。どの場面も決して長くはありませんが、とても丁寧に作られています」

「年齢を重ねたことで、18歳の自分からどうしても離れてしまったのが難しさだった」とシュー
「年齢を重ねたことで、18歳の自分からどうしても離れてしまったのが難しさだった」とシュー

「大人の魂が宿った映画」

脚本を読んだとき、シューは自らと36歳のジミーに共通する大きなポイントを発見したという。それは「旅が好きで、旅を通して自分自身を再発見し、旅によって癒されるところ」。このテーマに惹(ひ)かれたことが、本作への出演を引き受けた理由のひとつだった。

「36歳のジミーには、旅に出る勇気、今まで向き合えなかったことに向き合う勇気があります。自分の青春とはどんなものだったのか、そのピースを集めてはパズルのように組み立てながら青春を再び体験し、そして成長していくんです」

旅の最後にジミーが見つけるものとは…… ©2024「青春18×2」Film Partners
旅の最後にジミーが見つけるものとは…… ©2024「青春18×2」Film Partners

シューは「この映画は青春物語、ラブストーリーでありつつ、大人の魂が宿った作品。旅とは何か、過去を振り返ることがどんな機会を与えてくれるのかを教えてくれる」と語る。物語のキーワードである、「旅は何が起こるのかわからないから面白い」という台詞(せりふ)には、「これこそ旅の醍醐味」と強く共感したそうだ。

「旅先では初めての風景を目にし、いろんな人びとや出来事に出会い、さまざまなものを受け取りますよね。大きな影響を受け、考え方が変わることさえある。僕にとって、この映画はまさに旅そのもの。本当に楽しかったし、いろんなことを学ぶことができました」

シューは清原と藤井を「旅のパートナー」と呼んだ ©2024「青春18×2」Film Partners
シューは清原と藤井を「旅のパートナー」と呼んだ ©2024「青春18×2」Film Partners

俳優のプロフェッショナルとして

インタビューのみならず、今回取材した記者会見や舞台挨拶の受け答えから感じられたのは、俳優シュー・グァンハンの“仕事”に対するストイックな姿勢だ。

過去には台湾メディアの取材で、「俳優という仕事には全力を尽くせる」「代表作に恵まれなくとも役者を続けていたはず」と語り、本作の記者会見でも「撮影と同じくらいプロモーションも一生懸命やりたい」と宣言。事実、台湾では30回以上におよぶ舞台挨拶に立った。

アミをバイクに乗せ、さっそうと街を走る18歳のジミー ©2024「青春18×2」Film Partners
アミをバイクに乗せ、さっそうと街を走る18歳のジミー ©2024「青春18×2」Film Partners

ラブストーリーからコメディ、サスペンス、社会派ドラマなど、出演作品のスケールやジャンルも幅広いが、作品選びの基準も「特に決めていない」という。「シンプルに脚本が面白いかどうか。あるいは今までに演じたことのない、自分が挑戦できる役柄かどうかです」

この映画への出演を決めたのも、脚本のテーマのみならず、「以前から国際プロジェクトに参加してみたかったから。また、日本語での演技をやり遂げられるかに興味が湧いたから」だった。

「日本語は撮影が始まる前に数週間かけて練習しました。監督から『訛(なま)りはあってもいいけれど、なるべく日本人と同じ発音でしゃべってほしい』と言われていましたし、僕自身もなるべくきれいな日本語をしゃべりたかったんです。僕の日本語が下手なせいで、共演者の方々の演技に悪影響を与えてはいけないので」

ジミーが新潟で出会うフリーターの由紀子(黒木華、右) ©2024「青春18×2」Film Partners
ジミーが新潟で出会うフリーターの由紀子(黒木華、右) ©2024「青春18×2」Film Partners

その真摯な性格を物語るエピソードがひとつある。アジアでの「新・国民的彼氏」という異名について、台湾メディアにて「そう呼ぶのはやめてほしい」と冗談まじりに話したことがあったのだ。「僕はそんなにいいものじゃない。人間にはいろんな面があり、僕にも欠点はたくさんあります。別の一面やダークサイドを見てほしい」と。

そこで今回、「ご自身のダークサイドについてもう少し教えてください」と問いかけてみたところ、こんな答えが返ってきた。

「人間いつも順風満帆とはいきませんよね。挫折したとき、うまくいかないときはどうしても明るく振る舞えない。そんな時にこそ『なぜこうなったのか、自分の悪いところはどこなのか、自分が何を考えているのか』を徹底的に掘り下げるところに、僕のダークサイド、つまり闇の部分はある気がします。けれど、そういう暗闇を味わい、そこから抜け出すことを経験しなければ、本当の明るさを知ることはできないと思うんです」

シューと清原が「お気に入りの場面」と口を揃えるランタンのシーン ©2024「青春18×2」Film Partners
シューと清原が「お気に入りの場面」と口を揃えるランタンのシーン ©2024「青春18×2」Film Partners

こうした内省的な一面は、きっと36歳のジミーの演技にも活かされたはず。作品ごとに別人のような表情を見せる、シューの確かな演技力を支える部分に違いない。

2024年、シューは本作のほか、殺人鬼役を演じた韓国ドラマ『No Way Out(英題)』や、『僕と幽霊が家族になった件』のスピンオフドラマ『正港支店(原題)』が待機中。日台合作映画、韓国作品、Netflixシリーズとボーダレスに活躍することで、いまや台湾映画・ドラマ全体の顔ともなりつつある。

きっと日本でも、『青春18×2 君へと続く道』をきっかけに台湾文化に触れ、台湾映画に興味を持つ観客が少なからず出てくるだろう。

では、本作の次に観てほしい台湾映画は? 最後にそう尋ねると、シューは「何がいいでしょうね……」としばらく考えてから、「素晴らしい映画はたくさんありますが、僕がひとつ選ぶなら『ひとつの太陽』(19)です」と答えてくれた。ある家族の崩壊と再生を描き、“台湾のアカデミー賞”こと金馬奨で5部門に輝いた名作で、シューは心優しい長男役を演じている。「チョン・モンホン監督の映画はすごくいい作品ばかり。日本の皆さんにもぜひ観てほしいですね」

インタビュー撮影:花井智子
取材・文:稲垣貴俊

[参考資料]

【GQ HYPE】不要再叫他國民男友了,許光漢:「我真的沒那麼好啦!」(GQ)

流光溢彩 許光漢(Esquire)

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    稲垣 貴俊INAGAKI Takatoshi経歴・執筆一覧を見る

    ライター/編集者。海外映画を専門に、評論やコラム、インタビューなど幅広い文章を、書籍・雑誌・映画パンフレット・ウェブメディアなど多数の媒体で執筆する。国内舞台作品のリサーチ・コンサルティングも務め、近年は『パンドラの鐘』(

    山田洋次監督は、日本映画界を代表する巨匠であり

     




    山田洋次監督は、日本映画界を代表する巨匠であり、長年にわたり国民に愛され続けてきた映画監督、脚本家、演出家です。1931年に大阪府大阪市で生まれ、1954年に松竹に入社。シナリオライターとしてキャリアをスタートさせ、その後監督に転身しました。

    山田監督の代表作と言えば、やはり国民的人気映画シリーズ「男はつらいよ」でしょう。1969年に公開された第1作から1997年の第48作まで、28年間にわたって48作品が制作され、日本人の心の琴線に触れる温かいストーリーとユーモアで多くのファンを魅了しました。

    「男はつらいよ」以外にも、山田監督は数多くの名作映画を生み出してきました。「家族」(1975)、「幸福の黄色いハンカチ」(1977)、「東京家族」(2013)などは、いずれも高い評価を得ています。

    山田監督の映画は、日本の高度経済成長期から現代までの社会風俗をリアルに描き出し、そこに暮らす人々の喜びや悲しみ、希望や絶望を丁寧に描いた作品が多くあります。また、家族や人間関係、人生の機微などを温かい視点で描いた作品も多く、多くの人々に共感と感動を与えています。

    山田監督は、その功績により、日本映画界における最高権威である日本アカデミー賞をはじめ、数多くの賞を受賞しています。また、2010年には、文化勲章を受章しました。

    山田洋次監督は、日本映画史に名を残す偉大な映画作家であり、今後もその作品を通して、人々に感動を与え続けていくことでしょう。

    情報源

    1. https://ict-spt.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%AA%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB%E3%81%A7%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%8B%EF%BC%9F/
    2. Wikipedia - 山田洋次: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E7%94%B0%E6%B4%8B%E6%AC%A1
    3. 河北新報 - コラム:男はつらいよ: https://www.kahoku.co.jp/ishinomaki/2020/11/post-83.html
    4. 朝日新聞 - (夢をつくる:26)米国のポップスの歌詞から 山田洋次: https://www.asahi.com/articles/DA3S15863913.html
    5. 映画『こんにちは、母さん』公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/konnichiha-kasan/
    6. [Apple Music - 映画監督50周年記念盤 山田洋次監督 映画音楽選集](https://music.apple.com/jp/album/%E6%98%A0%E7%94%BB%E7%9B%A3%E7%9D%A350%E5%91%A8%E5%B9%B4%E8%A8%98%E5%BF%B5%E7%9B%A4-%E5%B1%B1%E7%94%B0%E6%B4%8B%E6%AC%A1%E7%9B%A3%E7%9D%A3-%E6%98%A0%E7%94%BB%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E9%81%B8%E9%9B%86/602683621

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    ルーカス・ウォーズ

    ロラン・オプマン作,ルノー・ロッシュ画,原正人翻訳「ルーカス・ウォーズ」
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    ロラン・オプマン作,ルノー・ロッシュ画,原正人翻訳「ルーカス・ウォーズ(電子版)」
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    1973年製作の「アメリカン・グラフィティ」で監督として初めて商業的な成功を収め、1977年に発表した「スター・ウォーズ」で社会現象を巻き起こしたルーカス。映画界への多大な貢献がたたえられ、今年5月14日から行われる第77回カンヌ国際映画祭では名誉パルムドールが授与される。

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    「ルーカス・ウォーズ」中面[拡大]

    フランスでは5万部が即日完売したという「ルーカス・ウォーズ」では、無謀な運転でカークラッシュを起こし、九死に一生を得た青春時代をはじめとして、スティーヴン・スピルバーグフランシス・フォード・コッポラとの出会い、無名時代のスタジオとの戦い、「スター・ウォーズ」構想から製作までの数々の苦悩と挑戦、そしてそれを支えてきた恋人や友人たちとのエピソードなどが明らかになる。

    ロラン・オプマンが作、ルノー・ロッシュが画を手がけ、原正人が日本版の翻訳を担当。「スター・ウォーズ」シリーズの字幕監修を担い、同シリーズに関する研究の第一人者でもある河原一久が監修している。

    「スター・ウォーズ」シリーズの大ファンで知られる映画監督・山崎貴は「ページをめくるたびにアドレナリンが背中を駆け登る。ああ誰か、これをこのまま映画にしてください」と帯文にコメントを寄せた。河原は「いつの時代でも、時代に変革をもたらすような作品が誕生する背景には、こうした人間臭い物語が存在していたのだ。これこそが、我々が待ち望んでいたものであり、ジョージ・ルーカスを感じる上で絶対に知っておかねばならない物語である」とつづっている。

    「ルーカス・ウォーズ」は紙の書籍が税込4620円、電子版が税込2500円。キネマ旬報のオンラインショップでは、しおり3枚組の特典付きで販売されている。

    バンドデシネ「ルーカス・ウ

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