8月25日の古河電工の上昇は、現時点で新しい大型IRが出た
ことによる急騰というより、次の要因が重なった「自律反発・買い戻し」の可能性が高いと考えられます。
- 8月19日から24日までの急落に対する反発
- 好調な第1四半期決算と上方修正の再評価
- AIデータセンター向け光ファイバー需要への期待
- 売り方による買い戻し
- 3,600円付近で下げ止まったことによる短期資金の流入
ただし、まだ「本格的な上昇相場へ戻った」と断定できる段階ではありません。値動きが非常に大きいため、急騰したところを追いかけるより、3,600円台を維持できるか、4,000円台を回復できるかを確認する局面です。
1.8月25日に上がっている直接的な理由
ご提示の10時06分時点では、
- 株価:3,885円
- 前日比:+260円
- 上昇率:+7.17%
- 高値:3,957円
- 安値:3,601円
- 出来高:約1,274万株
となっています。
注目点は、前日終値3,625円に対して始値が3,621円、安値が3,601円だったことです。朝方はほとんど上昇していませんでしたが、その後まとまった買いが入り、3,900円台まで急上昇しています。
これは、朝から好材料で買い気配になった銘柄とは少し違います。3,600円付近で売りが一巡し、それを確認した短期投資家や空売り投資家の買い戻しが入った可能性があります。
直前まで大きく下落していた
古河電工は直近で次のように激しく動いています。
| 日付 | 株価の動き |
|---|---|
| 8月19日 | 3,770円、前日比−13.69% |
| 8月20日 | 3,864円、+2.49% |
| 8月21日 | 3,818円、−1.19% |
| 8月24日 | 3,625円、−5.06% |
| 8月25日午前 | 一時3,957円まで反発 |
8月19日と24日の下落で短期的な売られ過ぎ感が出ていました。
8月18日ごろの4,300円台から8月25日の安値3,601円まで、およそ17%も下落しています。そのため、悪材料が一巡したと判断した投資家から押し目買いが入ったと考えられます。Yahoo!ファイナンス
2.業績そのものは大きく改善している
古河電工の2027年3月期第1四半期は、かなり強い内容でした。
| 項目 | 第1四半期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,652億円 | +24.3% |
| 営業利益 | 255億円 | +205.4% |
| 経常利益 | 310億円 | +304.0% |
| 四半期純利益 | 222億円 | +335.0% |
売上高の増加以上に利益が伸びています。単なる売上拡大ではなく、収益性が改善している点が重要です。
会社は中間期と通期の業績予想も上方修正しています。したがって、8月19日以降の大幅下落を見て、「業績から考えると少し売られ過ぎではないか」という見直し買いが入っても不思議ではありません。古河電工・業績概要
3.最大の成長材料はAIデータセンター
古河電工は「電線会社」と思われがちですが、現在の株価を動かしている中心テーマはAIデータセンターです。
生成AIでは膨大なデータを高速でやり取りする必要があるため、データセンター内部やデータセンター間を結ぶ光ファイバー、光ケーブル、光部品の需要が増えています。
古河電工には次の製品があります。
- 高密度光ファイバーケーブル
- ローラブルリボンケーブル
- 光半導体・レーザーデバイス
- 光コネクター関連部品
- データセンター用放熱・冷却製品
- 海底ケーブル用・特殊用途の光ファイバー
特にローラブルリボンケーブルは、細いケーブル内に多数の光ファイバーを収容できるため、大容量通信を必要とするAIデータセンターと相性のよい製品です。
同社グループは2026年3月、従来品の2倍の伝送容量を持つ「13,824心」の超多心光ファイバーケーブルの量産開始を発表しています。古河電工・製品発表
4.約1,000億円の増産投資も評価材料
古河電工は光ファイバー・光ケーブルの生産能力を増強するため、約1,000億円を投資する計画です。
投資地域は、
- 米国
- ブラジル
- 日本
- インド
の4地域です。
2028年度下期から順次稼働し、ローラブルリボンケーブルの生産能力を2025年度末比でおおむね2倍にする方針です。
さらに、投資に際して長期契約を含む顧客の購入意向を確認していると説明されています。単なる見込みだけで大型投資を行うのではなく、一定の需要を確認したうえで増産に進んでいる点は評価できます。ロイター
一方、設備が本格稼働するのは2028年度下期以降です。それまでに投資負担や借入金が先行する可能性には注意が必要です。
5.なぜ好決算なのに株価が急落したのか
業績が好調でも、株価は必ず上がるわけではありません。古河電工の場合、期待が先に大きく膨らんでいたことが背景にあります。
株価が先に上がり過ぎていた
2026年の年初来安値は、株式分割後換算で965円です。それが5月には6,241円まで上昇しました。
短期間に約6倍になった計算です。そのため、好決算であっても市場の高い期待を十分に超えなければ、「材料出尽くし」の売りが出やすくなります。
大和証券が目標株価を引き下げ
8月21日には大和証券が目標株価を4,700円に引き下げたと伝えられています。
4,700円は現在値より高いものの、目標株価の引き下げ自体は投資家心理を冷やします。成長性は評価しながらも、従来ほど強気ではないという受け止め方が広がった可能性があります。
信用買い残が多い
信用倍率は16.08倍です。
つまり信用売り残に比べて信用買い残が非常に多く、株価が下がると信用買いした投資家の損切りが出やすい状態です。
一方で、最近は信用売り残も増えているため、8月25日のように株価が急反発すると、空売りの買い戻しが上昇を加速させる場合があります。
今後の株式戦略
①新規購入:急騰を追いかけ過ぎない
3,885円で100株購入すると約38万8,500円です。
午前中だけで3,601円から3,957円まで、約10%動いています。このような日に一度に100株購入すると、短時間で大きな含み損になる可能性があります。
新規に買う場合は、例えば次のような分散方法が考えられます。
- 1回目:3,600~3,700円台で少量
- 2回目:4,000円を終値で明確に回復した後
- 3回目:次回決算で業績の継続を確認してから
ただし、実際の売買単位は100株なので、単元未満株を利用しない場合は、資金管理を一段と慎重にする必要があります。
②すでに保有:4,000円前後の動きを確認
短期的には次の価格帯が重要です。
| 株価帯 | 見方 |
|---|---|
| 3,580~3,600円 | 直近の下値支持候補 |
| 3,770~3,820円 | 8月19日・21日の終値付近 |
| 3,950~4,000円 | 当面の上値抵抗帯 |
| 4,100円前後 | 8月19日の急落前後の価格帯 |
| 4,300~4,400円 | 戻り売りが増えやすい候補 |
| 4,700円 | 大和証券の目標株価とされる水準 |
3,600円を明確に割り込むと、戻り相場ではなく下落トレンド継続の可能性が高まります。
反対に、出来高を伴って4,000円を回復し、その水準を数日維持できれば、4,100~4,400円を目指す展開が考えられます。
③利益が出ている場合:一部利益確定も選択肢
年初から保有している場合は、大きな利益が出ている可能性があります。
古河電工は成長株として期待できますが、配当利回りは0.6%前後と低く、現在の株価は高い成長を織り込んでいます。長期保有分を残しながら、一部を利益確定する方法も合理的です。
「全部売る・全部持つ」の二択にせず、
- 半分を中長期保有
- 半分を急騰時に利益確定
- 下落後に業績を確認して買い直す
という分割戦略が使えます。
今後チェックしたい4項目
-
11月9日予定の第2四半期決算
第1四半期の高成長が続いているかが最大の焦点です。古河電工・IRカレンダー -
データセンター関連の受注
増産計画だけでなく、実際の受注高と販売数量を確認します。 -
営業利益率
売上が伸びても、設備投資・人件費・材料費で利益率が下がれば株価にはマイナスです。 -
信用買い残
信用買い残が減らないまま株価が下がると、投げ売りが再発する恐れがあります。
総合判断
古河電工の中長期的な成長材料は本物だと考えられます。第1四半期の営業利益が約3倍になり、AIデータセンター向け光製品も拡大しています。
一方、株価は年初来で大幅上昇した後であり、PER約26倍、PBR約6倍という評価には将来の成長期待がかなり含まれています。配当利回りも低いため、「安定した高配当株」ではなく、期待と失望で大きく動くAI関連の成長株として見るべきでしょう。
8月25日の上昇は好材料の再評価と売られ過ぎからの反発ですが、本格反転の確認には4,000円台の定着が必要です。私なら急騰中に一括購入せず、押し目か4,000円回復後を待ち、購入する場合も資金を分けます。
※株価は取引時間中に変動します。上記は公開情報に基づく分析で、特定の売買を推奨するものではありません。

