日本の街中で当たり前のように見かける「自動販売機」。しかし、その自販機ビジネスが今、
大きな転換点を迎えています。飲料大手の ダイドーグループホールディングス が発表した
2026年1月期の決算で、過去最大となる303億円の赤字を計上しました。
自販機を主力とする企業の巨額赤字は、飲料業界全体に衝撃を与えています。さらに、
コカ・コーラや伊藤園も自販機事業で大きな減損損失を計上しており、日本の自販機
ビジネスそのものが大きく揺らいでいる状況です。
この記事では、ダイドーの赤字の原因、自販機ビジネスが苦戦している理由、そして今
後の展望について詳しく解説します。
ダイドーが過去最大303億円の赤字
ダイドーグループホールディングスが発表した2026年1月期の連結決算によると、
最終利益は 303億円の赤字 となりました。前期は38億円の黒字だったため、大幅な
業績悪化となります。
今回の赤字は 3期ぶり であり、さらに 過去最大の赤字額 です。
大きな要因となったのは、自動販売機事業の収益悪化による 298億円の減損損失 の計上でした。
減損損失とは、資産の価値が大きく下がり、将来回収できないと判断された場合に計上
される損失のことです。つまり、これまで設置してきた自販機の一部が「十分な利益を生
まない資産」と判断されたことを意味します。
ダイドーの売上の9割は自販機
ダイドーの特徴は、他の飲料メーカーと比べて 自販機依存度が非常に高い ことです。
全国には約 27万台の自動販売機 が設置されており、国内飲料事業の売上の 約9割 を
自販機が占めています。
コンビニやスーパーでの販売が中心の飲料メーカーとは違い、ダイドーは自販機を
中心としたビジネスモデルで成長してきました。そのため、自販機の売上が落ちると
企業業績に大きく影響してしまいます。
物価高で「自販機離れ」が加速
近年、自販機の売上が落ちている大きな理由の一つが 物価高による節約志向 です。
スーパーやドラッグストアでは、ペットボトル飲料が100円前後で販売されることも
珍しくありません。一方、自販機では150円〜180円程度の商品が多く、消費者に
とっては割高に感じられます。
物価が上昇する中で、消費者はより安い商品を求める傾向が強まっています。
その結果、自販機ではなくスーパーやコンビニで飲料を購入する人が増えているのです。
こうした背景から、飲料業界では 「自販機離れ」 が徐々に進んでいると指摘されています。
コンビニコーヒーとの競争も激化
自販機ビジネスにとってもう一つの大きなライバルが コンビニのカウンターコーヒー です。
セブン‐イレブンやファミリーマート、ローソンなどのコンビニでは、100円〜150円程度
で本格的なコーヒーを提供しています。
このコンビニコーヒーは品質が高く、価格も手頃なため、多くの人に支持されています。
以前は自販機で缶コーヒーを買っていた人たちが、コンビニコーヒーに流れていると見
られています。
特にビジネスパーソンの利用が多い都市部では、この影響が大きいと言われています。
原材料費や電気代の高騰も打撃
さらに、自販機ビジネスを苦しめているのが コストの急上昇 です。
飲料業界では近年、以下のようなコストが大幅に上昇しています。
・コーヒー豆など原材料価格
・ペットボトルなど容器価格
・物流費
・電気代
自販機は24時間稼働しているため、特に 電気代の影響 が大きいビジネスです。電力価格
の上昇は、そのまま運営コストの増加につながります。
売上が伸びない一方でコストが増え続ける状況が、企業の利益を圧迫しているのです。
ダイドーは自販機2万台を撤去へ
こうした状況を受けて、ダイドーは経営改善のため 約2万台の自動販売機を撤去 する
方針を明らかにしました。
不採算の自販機を整理することで、収益性の改善を目指します。
さらに、今後は次のような取り組みも進めるとしています。
・中古自販機の活用によるコスト削減
・供給網(サプライチェーン)の見直し
・炭酸飲料など人気商品の強化
ダイドーの高松富也社長は決算会見で
「自販機ビジネスの厳しさは想定以上に進んでいる」
と述べ、事業環境の厳しさを強調しました。
コカ・コーラや伊藤園も自販機で減損
自販機事業の苦戦は、ダイドーだけの問題ではありません。
飲料業界全体で自販機ビジネスの収益性が低下しています。
例えば
・コカ・コーラ ボトラーズジャパンHD
→ 自販機事業で 904億円の減損損失
・伊藤園
→ 自販機事業で 137億円の減損損失
このように、大手企業でも自販機関連の損失が相次いでいます。
日本は世界でも有数の「自販機大国」と言われてきましたが、そのビジネスモデルが
見直される時代に入っているのかもしれません。
日本の自販機ビジネスはどうなるのか
日本には現在、およそ 400万台以上の自動販売機 があると言われています。街のいたる
ところに設置されており、日本独自の文化とも言える存在です。
しかし今後は
・設置台数の減少
・効率重視の運営
・キャッシュレス化
・新しいサービスの導入
など、自販機ビジネスの形が大きく変わっていく可能性があります。
AIやデータ分析を活用し、売れる場所に集中して設置するなど、より効率的な運営が
求められる時代になりそうです。
まとめ
ダイドーグループHDは2026年1月期の決算で、過去最大となる303億円の赤字を計上しました。
その背景には、自販機販売の低迷や原材料費の高騰、電気代の上昇など、さまざまな要因
があります。
さらに、コンビニコーヒーの台頭や消費者の節約志向も、自販機ビジネスに大きな影響を
与えています。
ダイドーは不採算の自販機約2万台を撤去し、事業の立て直しを図る方針ですが、飲料業界
全体でも自販機ビジネスの見直しが進む可能性があります。
これまで日本の街を支えてきた自販機は、これからどのように進化していくのか。
今後の動向に注目が集まっています。
0 件のコメント:
コメントを投稿